DUSKO GOYKOVIC 「IN MY DREAMS」
一つ種明かししちゃいましょうか、「何故CDは売れなくなったのか?」についての答えの一つ。なんだと思います?別にネット、配信のせいだけじゃありませんよ、ソレを言い訳にしている輩は多いけど、、、
十数年前にEMIから「NOW 1」て出たでしょ?その後直ぐに「FEEL」ってヒーリングのコンピが出たでしょ?あと何で?というくらいのベスト・アルバムのリリース、ああいうものが大ヒットしちゃった事で、聴く方も出す方もオイシイ思いをしちゃって、ガックリ日本人の音楽に対する感性が衰えちゃったんですよ。
アルバムというのはそのアーティストの、その時の思いとかが込められたものなんですよ、その中で判ってもらいやすいものをシングル・カットしたりしてアルバムの売れ行きの幸先を良くしようとレコード会社やアーティストが戦略を練っていくわけですな。最高の狙いは「シングルにはならなかったこの曲はサイコーじゃん!」何て言って作品から自分なりのフェイヴァリットを見つけてもらって、アルバム自体を好きになってくれること。
ところがオイシイ処取りのコンピを乱発する事でそのアーティストの真意や本当の魅力に関心を待たないリスナーを増やしちゃったんだな、音楽をお手軽にしちゃったってこと。好きになったらかなり掘り下げていって、そのアーティストのルーツまでいってしまうのが昔のミュージック・ホリック、ソレが面白いし、そんなヤツばかりだった、嘗てはね。
でもオイシイ思いに慣れた今のリスナーは必ずしもそうではない。本当はオイシくも何ともないのにオイシイと思わせちゃったのよ、売れるから、、、コレはレコード業界が全く危険な将来を思い描いてなかった証拠。いや、そうじゃないかな、メーカーは予測していたかもしれないけど、小売業界(レコ屋さんね。)が思い描いていなかったという方が正しいかな。
メーカーのほうはダウンロードでシングルが10万件、例えば来ちゃったらその分銭が入ってくる仕組みは作ってる、逆に全国のレコ屋さんに少なくとも10万人のお客様がご来店しなくなったということが言える訳です。メーカーとしてはどうなんですかね、CDを作るより経費は全然掛かってないんじゃないかな、そうだとすれば物として作って売るよりおいしいんじゃないかなぁ、、、でもメーカーもこのままではドツボに嵌るのは確実です。音楽を扱う専門家としてのアイデンティティはドンドン失われていくはずですから。アーティストの方がイズレ見切りをつけるでしょう。そういうことなら自分でもできるから、自分でやった方がマシだってね。
「ハイ、ビッグ・アーティストの新譜ダァ、売れ!売れ!」と言いながら期待したほどの売上は取れない。あまらすばっかりで、結局デッド・ストックになって行きますな、その分あるべき細かいメンテナンスが出来ないから店頭が金太郎飴になっていく。これを負のサイクルといいます。お店に来るお客様は目的のもの以外は全く興味を示してくれなくなるんですな、だって何もないんだから、あるべきものが。
っで、ここでネットが登場、所謂オイシイ所だけでいいんだから自宅で充分、わざわざCDなんて買わんわな。その内コンピもベストも必要なくなる、だって自分で、自分だけのベストが自宅で作れちゃうからね。
アルバムだと微妙に苦戦するのにベストを出すと大ヒットしちゃう、そんな悲しいアーティストが多いのも問題です。
すげー矛盾してると思ったのは、アルバム1,2枚しか出してないのに、次はベスト・アルバムやらグレイテスト・ヒッツだって、、、おいおい、そんな売れてたか、しらねーよ、、、そんな感じでベストを売り切って消えていくアーティスト。可哀相に、、、何だったんだろうね。
さて、、、恐ろしいですよねぇ、「何故CDは売れなくなったのか?」構造が見えてきましたかな?音楽は聴かれている(実は売れている。)、でもCDは、、、ね?でもコレは氷山の一角でしかありませんのよ、、、では如何すればレコ屋さんは生き残れるのか、、、フフフ、、、今日は私、ちょっと意地悪よ、、、
意地悪な私が今日聴いているのはDUSKO GOYKOVIC 「IN MY DREAMS」、嘗てのスラヴの哀愁は今はソレほどもう感じられないけど、それでもバラードは上手いねぇ、、、黄昏たメロディ・ラインと叙情の演奏はグッと心に沁みてきます。
- IN MY DREAMS
- ST. GERMAN DE PRES
- SEQUOIA SONG (DEGEN)
- INTRODUCTION
- SKYLARK (CARMICHEL)
- ONE MORNING IN MAY (CARMICHEL)
- ALL MY LOVE
- LITTLE THEO
- I MISS YOU SO
- BALLAD FPR BELGRADE
- AL MY LOVE (QUARTET VERSION)
その他は全てDUSKOのオリジナル、4曲目のスウィング・ナンバーは何処かで聴いた事があるような、、、まぁ、ヨロシイ、今は寛ぎタイムなのだ。年をとっても乗ってくれば自然と滲み出るのはスウィンガーの性ですな。全体的にはスローで寛ぐ、トランペットの醸し出す独特の枯れた味わいで、ソレが本作をリピートする理由なワケです。
本作のもう一人の主役がピアノのBOB DEGEN、いい所で良い雰囲気を滲ませるピアニスト、ちょいとミュージシャンズ・ミュージシャンなのかな、主役のバックでも聴かせ所を心得ているプレイヤーで、彼の名前があると何となく、聴かなきゃイカン!っと思わせます。
ふ~、心地良いねぇ、、、
是非お願いしたい!パドル・ホィールのDUSKOの一連の作品、どうか出して欲しいのだ!特にジャンニ・バッソとの二管フロントのヤツ、何て言ったっけなぁ、、、インターナショナル・クィンテットという感じだったかな、何故か買い損ねてるんですよ、、、(或いは失くしてるのかも。100枚くらい前の仕事の絡みで無くなってるからなぁ、、、)
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